さなえの計算用紙

日常風景やゲームの感想など書いていきます。ご自由にコメントをお願いいたします。

Lose「まいてつ Last Run!!」の感想

Loseの「まいてつ Last Run!!」をクリアしたので、簡単に感想を残します。発売後の追加シナリオもすべてクリアしています。

 

旧作である「まいてつ」の有料体験版の共通ルートを遊んで面白かったため、本作を予約して購入しました。とはいえ、発売から1年半ほど経過してしまいました。前作の「ものべの -happy end-」もそうですが、ボリュームが大きいためいつ終わるか先が見えず、少し進めては放置して、を繰り返していました。これは私の性格等によるものですので、放置してしまうようなクオリティの低さであるということではありません。

 

作品の概要については、公式ホームページをご確認ください。ここでは、個別のルートの話ではなく全体的な感想を書くことを主眼に置いています。

本作は鉄道を下敷きにしてそれぞれのヒロインと話を展開することとなります。特にメインヒロインであるハチロク・日々姫・ポーレットのシナリオのボリュームはすさまじいものでした。三者三様に鉄道と向き合っており、飽きることはありませんでした。

ここで指摘したいのは、鉄道はあくまで下敷きになっているだけであり、本当に描かれているのは家族愛ではないかということです。主人公である右田双鉄は幼いころに両親と双子の妹を鉄道事故で亡くし、右田家の養子として迎えられます。当時は右田家や周辺の人たちと向き合うことをせず、事故からずっと彼の中の時計が止まったままの状態でした。成長した双鉄は帝都の大学に進学し、育ちの故郷の問題を解決すべく休学して物語の舞台である御一夜市に戻ってきます。蒸気機関車の運転をきっかけに人間やレイルロオドと交流し、問題解決を図っていこう……というところで共通ルートは終了し、個別ルートに入っていきます。

個別ルートはヒロインに応じたストーリーが展開されますが、単にヒロインと恋愛をするという描写はほとんどありません。告白をするシーンこそあれ、双鉄の気持ちの根底にあるのは一緒に生きていきたい、婚姻に限らず様々な形で家族を作り、次の世代のためにも「レール」を延ばしていきたい、というものだと感じられました。Loseの作品は総じて恋愛よりも家族愛を重視しています。本作のシナリオはまじめに進行するため、恋愛を無理に押し出すとシナリオのノイズになるおそれがありますが、家族愛をテーマにすることでそれをうまく回避しています。また、年齢制限が必要なシーンはすべておまけ部分に移行されており、シナリオを読むだけであればすべての人が楽しめる設計になっていることも高評価です。

 

Loseは本作を最後にゲーム制作から離れることを明言しています。

fantia.jp

本作の発売当初は様々な問題があったのですが、ユーザーの指摘に対して可能な範囲で対応し、大型アップデートによって不満点がほぼ解消されたことについては、素直に評価されてもよいと私は思います。Loseブランドのゲームに興味を持ち、プレイする人が一人でも現れることを願っています。